言うほどのことでもない

結構大切なことのような気もする

断片

 センター試験が近い。昨年と一昨年は当事者だったので胃が痛くてしょうがなかったし、もうセンター試験を受けることのない身になってもなんとなくモヤッとした気持ちになる。

 かといってセンターの日のことはよく覚えていない。いつも乗る路面電車より速くて温くて座席が広いJRに揺られて遠くの会場まで行ったこととか、行きがけに緊張を和らげようとしてラフターナイトで流れたまんじゅう大帝国のネタを聴いたこと、帰りの電車の中ではサカナクションユリイカとグッドバイを交互に聴いてなぜだか泣きそうになったこととか、試験2日目の帰り道に開放感そのままにサンマルクカフェに寄って生パスタを食べたこととか、そんな、試験と関係ないことだけがほわんほわんと思い出せる。

 あと、当たり前と言われればそうなんだけどめちゃくちゃ寒かった。これも寒かったということだけを鮮やかに覚えている。なんとなく午後の紅茶のCMを思い出すような寒さだった。感傷的になった。現役のときは友達がいたからそれなりにへらへらしていられたけど、寒くて寂しいと簡単に感傷的になってしまう。そういえば現役のときは、一緒に帰っていた友達が缶コーヒーについているドラゴンボールのフィギュアがほしいと言って飲めないコーヒーを買ったのに、それにはフィギュアがついていなくてそいつはめちゃくちゃ恨めしそうな顔で自販機を見つめていたし、私はめちゃくちゃ笑った。現役のときの思い出もそんなことばかりだ。友達から同級生のしょうもない話を聴いてゲラゲラ笑っていたし、急な下り坂をゲラゲラ笑いながら下った。しょうもない、しょうもないけどそんなことばかり思い出す。冬になると思い出すのだろう。